不動産屋さんから民泊の候補物件の提案を受け、売上や経費予測を含めた収支の見込みを立てたうえで、この物件で民泊を始めてみようと決めた場合に、不動産の賃借や購入の契約前にすべきことがあります。次の2点はできる限り、契約の前に確認するように知っておくと良いでしょう。
①消防法令の適用
②近隣住民への簡単な挨拶
不動産の賃貸や売買の契約をする前に、上記の確認をしたうえで契約したい旨仲介する不動産屋さんにを説明し、物件を止めてもらう(一旦仮予約のような状態を維持してもらう)ことができる場合も多いですので、すぐに飛びついて契約するのは避けましょう。
民泊を行う場合において、住居が一戸建てなのか、それともマンションやアパートなのか、宿泊室の床面積や家主が同じ建物に居住しているか否かなどによって消防法令上の用途が異なり、求められる消防法令上の対応が違ってきます。民泊は人が宿泊し、ガスや電気を使用することが前提となっていますので、消防法令に適合させることがとても重要です。
詳しくは下記の総務省消防庁のパンフレットをご確認いただきたいのですが、かなり難しい内容となっています。
⇒消防庁パンフレット
概ね大阪市内の通常の一戸建て(普通に住宅用に供しているような住宅)や集合住宅の一室を民泊で使用する場合には、簡易な自動火災報知設備の設置でよいのですが、大阪に多い3階建ての戸建てなどは注意が必要です。場合によっては、“感知器”、“受信機”、“発信機”、“音響装置”を備えた本格的な自動火災報知設備を設置する必要がある場合があります。
また、11階建て以上のマンションうち、何室かで民泊が運営されている場合、民泊での使用部分が一定以上の割合を超えた場合にはスプリンクラー設置が義務付けられるケースなどがあります。
その他にも、絨毯やカーペットは不燃材料で作られたものを使用しなければならないなどのルールもあります。
このあたりは消防関連法令を読むだけではわからないことも多いと思いますので、事前に、民泊候補物件の所在地を管轄している消防署に連絡をし、事前相談を行ってください。
電話で、「民泊を始めたいと考えている」旨等を説明すると、まずは物件の平面図等を持って相談に来てくださいと言われます。
実際の民泊の許認可申請の際には消防署からの「消防法令適合通知書」が必要となるのですが、最初にやるべきは消防署への事前相談であり、どのような消防設備を設置すべきか、必要以上の消防設備のための経費が必要でないかを確認するようにしてください。
このあたりに関しては、下記のブログにもう少し詳しく説明していますので、是非ご確認ください。
⇒民泊における消防法令の適用
⇒特区民泊の消防法令の適用について
民泊の許認可申請の際には、近隣住民に対して必要な「説明会」を実施した内容と近隣住民の問い合わせ等に対してどのように回答や対応をしたかをまとめた書類の提出が必要になってきます。
近隣住民への説明会はあくまでも説明と対応であって、近隣住民が民泊を営業することを納得するか否かは問われていません。
しかし、関係法令上は民泊が可能な状況であっても、近隣住民の猛反対を受け、民泊の開始を断念するケースもないとは言えません、実際に、大阪市内でも近隣住民が一致団結して弁護士まで雇い反対した結果、その物件では実質的に民泊ができなくなったケースもあります。
(ただし、あくまでも行政側から「ここでは民泊とやってはダメ!」とはいわれませんが。。。)
このようなことになると元も子もありませんので、できる限り近隣住民(民泊候補物件の周囲約20mの範囲)及び町内会長さんへご挨拶と民泊を行いたい旨を説明するのが良いでしょう。そのうえで、ちゃんとした説明会を開催するのがベストだと思います。特にお隣さんや町内会長さんにはお菓子などの手土産を持参して、ご挨拶に行くことをお勧めします。
最初のご挨拶の際にかなり反発を受けるようであれば、その物件で実際に民泊を営業するのは難しいかもしれません。
当民泊開業支援センターでは、消防法令の事前相談や近隣住民への事前挨拶のお手伝い、説明会開催の準備や運営等もサポートいたしますので、お困りの際には是非お声かけください。