民泊を始めたい方にとって、どれくらいの初期投資が必要であり、また月々の収入や経費の目安、年間でどれくらいの利益が出るのかはなかなか想像しにくい部分だと思います。
実際に、不動産屋さんから民泊物件の紹介を受け、立地的にも条件的にも民泊が可能そうだったとしても、果たしてどれくらいの儲けが出るのか、また損をしてしまったりしないかなど不安だと思います。
民泊の収益率は、賃借する物件の家賃や民泊用に改装する場合の費用、民泊の管理運営を自分で行うのか、それとも管理業者に任せるのか等々によって大きく異なってきます。
〇民泊ホストの収入源
民泊のホスト(民泊を行う人)の収入は、宿泊料と清掃費になります。
宿泊料は民泊の立地やグレード、部屋数、収容人数等によって違ってきます。また、季節や曜日によっても変動します。民泊を始めてみたいと考えていらっしゃる方は一度はairbnbなどの宿泊予約サイトをご覧になったことがあるかと思いますが、宿泊料に関しては、近隣の同レベルの民泊施設がいくらくらいの料金で募集をしているか、また、その予約状況はどうなのか等々から概ねの予想を立てる必要があります。
当然、とても魅力のある民泊物件なら宿泊者の予約も獲得しやすいでしょうし、同レベル、ほぼ同じ立地なら安い方を宿泊者は利用をするでしょう。
この宿泊料と清掃費に関しては、民泊をされている物件によっても様々で、宿泊費は比較的安めでも、清掃費が高かったり、またその反対であったりする場合もあります。
清掃費に関しては、ホスト自身が清掃やリネン(シーツやタオル類)の入替をされる場合には、安く設定することもできますが、専門業者や住宅宿泊管理業者に任せる場合には比較的高くなってきます。また、民泊物件の広さや宿泊収容数によっても異なってきます。
清掃業者や住宅宿泊管理業者に清掃をお願いする場合には、ホストの収入は宿泊料のみと考えた方が良いでしょう。
〇 民泊の平均稼働率と旅行者1回あたりの平均宿泊日数
民泊物件の平均稼働率や1回あたりの平均宿泊日数について、行政などから出された明確なデータはありませんが、いろいろなWebサイトを見ていますと平均稼働率は75%前後、1回あたりの平均宿泊日数は3.5日ぐらいなのではないかと思います。しかし平均稼働率は、物件の良し悪しでかなりの差があるようで、ぼぼ予約でいっぱいの物件がある反面、まだまだ宿泊に余裕がある物件もあるようです。
しかし、民泊の総収入は、この宿泊単価と清掃単価、稼働率と1回あたりの平均宿泊日数で決まります。民泊物件を決める際には、いろいろな宿泊予約サイトで近隣の物件の予約状況や宿泊料金、清掃料金等を研究し、概ねの検討をつけておく必要があります。
民泊物件を賃借して開業する場合の経費には、①イニシャルコストと②ランニングコストが発生します。
①イニシャルコスト
イニシャルコストとは、新しく事業を始めたりするときなどに発生する稼働するまでの間に必要となる初期費用のことをいいます。
賃貸物件の場合には、概ね以下の経費が必要となってきます。
・不動産賃借のための仲介手数料:家賃の0.5~1ヶ月分+消費税が基本的な仲介手数料です。不動産業者によっては借主から仲介手数料を取らない会社もあります。
・不動産賃借のための初期費用:物件の保証料や鍵の交換代等です。
・敷金・礼金:今は敷金・礼金ともにゼロの物件もかなりあります。特に敷金を取らない物件の方が多いです。礼金を取る物件は家賃の1か月~2か月分のところが多いようです。
・改装費・設備費:賃貸物件の内外(インテリアやエクステリア)を魅力的に改装するための費用やスマートロック(スマホなどのデバイスで、自宅やオフィスのドアの解錠や施錠ができるシステム)などを設置する場合の費用です。物件によっては殆ど費用のかからない物件もありますし、消防設備の設置のために多くの費用がかかるケースもあります。
・備品代:民泊の室内に設置するテレビや電子レンジ、冷蔵庫などの電化製品やベットや布団、シーツなどの購入代金です。
・i-Padなどの通信機器の購入費:民泊物件を無人管理する場合には、通信機器の購入代金が必要です。
・民泊の許認可申請費用:民泊を開始するための許認可を行政書士等に依頼する費用や行政に支払う申請手数料です。
・民泊開始のための説明会等の実施費用:民泊申請に必要な近隣住民への説明会の準備や開催を委託した場合の費用です。
②ランニングコスト
ランニングコストは民泊を行っていく上で発生する運転費用や維持費用のことをいいます。
概ね、以下のような費用が発生してきます。
・家賃や管理費:月々支払わなければならない賃借物件の家賃や管理費です。管理費が不要な物件もあります。
・水道光熱費:民泊物件の電気、水道、ガスなどの使用料です。季節によって変動が大きい費用です。
・清掃費:宿泊者の使用後の清掃やリネンの入替のための費用です。ご自身で行う場合と専門業者に任せる場合では、費用が大きく異なってきます。
・住宅宿泊管理委託費:住宅宿泊管理を専門の事業者(住宅宿泊管理業者)に委託する費用です。委託内容にもよりますが、概ね売上の15~20パーセントが平均的です。
・宿泊予約サイトの利用料:airbnbなどの宿泊マッチング、予約サイトへの成約時に発生する手数料です。
・アメニティ、清掃備品の補充代:宿泊者が利用するアメニティや清掃で使用する洗剤や清掃用品の補充代金です。
・Wifiやスマートロックシステムなどの利用料金:民泊施設を無人管理する場合には、通信環境の利用料金が必要です。
民泊の運営によってどれくらいの採算が取れるのかは、これまで述べてきた収入の予測、経費の発生の予測によって計算をしていく必要があります。
この予測は、物件の立地や個々のさまざまな条件によって大きく異なってくるため、賃借しようと見込んでいる物件1件、1件で見込みを立てていかなければなりません。
当民泊開業支援センターでは、ご依頼いただいたお客様と綿密な打ち合わせを行い、希望する物件でのどれくらいの収益を見込むことができるのかなど収支検討のお手伝いをさせていただきます。
※ただし、収支検討の結果を100パーセント保証するものではなく、最終的に、宿泊費用(案)の決定や平均稼働率の見込み、また経費をどこまでかけるのかはお客様の判断となります。