
コロナ禍が明け、2023年5月以降、日本を訪れる外国人観光客や国内旅行者の数が急増しています。特に大阪では、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をはじめ、本年の大阪・関西万博の開幕、さらには将来的なIR(統合型リゾート)開発も控えており、観光需要は今後さらに高まっていくと予想されます。
このような中、民泊ビジネスに注目が集まっています。民泊にはいくつかの運営方法がありますが、「365日営業できる民泊」を実現したい方に旅館業法に基づく民泊である「簡易宿所」について、わかりやすく解説します。
「簡易宿所」ってなに?
「簡易宿所」は、旅館業法で定められた宿泊施設の一種です。ドミトリー形式やカプセルホテル、民宿などのように、宿泊スペースを複数人で共有するタイプの宿が該当します。
民泊には大きく分けて以下の3つの形態があります。
1.住宅宿泊事業法(民泊新法)による民泊:年間180日以内の営業制限あり。
2.特区民泊:特定の区域内でのみ365日営業可能(大阪市など)。
3.旅館業法に基づく簡易宿所:全国どこでも、365日営業可能。
京都や奈良、兵庫など特区民泊の対象外エリアでも、「簡易宿所」として旅館業の許可を取得すれば、通年営業が可能になります。つまり、収益面でも有利な選択肢です。
簡易宿所を始めるための施設基準(奈良県の例)
旅館業法に基づく営業には、建物の構造や設備に一定の基準があり、各自治体の条例に沿って対応する必要があります。ここでは奈良県の基準を例に、簡単にご紹介します。
1. 客室の広さ
・客室の合計床面積は33㎡以上
・宿泊者10人未満なら、1人あたり3.3㎡以上必要
・10人以上なら1人あたり2.4㎡以上が必要とされます
2. ベッドの構造
・2段ベッドなど階層式寝台を設ける場合、上下段の間隔は1m以上確保する必要があります
3. 設備の基準
以下の設備が必要です:
・換気・採光・照明などの衛生設備
・宿泊人数に見合った浴室やシャワー室(公衆浴場が近くにある場合は例外あり)
・洗面所(トイレと隣接する場合は扉で区切る必要あり)
・適切な数のトイレ(定期清掃や害虫駆除も義務)
4. 玄関帳場(受付)の設置
・宿泊者が必ず受付を通ってから客室へ移動できる構造が必要
・緊急時対応ができるよう、帳場やそれに代わる機能の設備が必要です
5. 外観やベッドの禁止事項
・景観に配慮した外観が求められます
・振動・回転するような動力付きベッドは禁止
・浴室やシャワー室が外から見えない構造であること
6. 外国人対応も努力義務
・多言語での案内表示や設備説明、交通アクセス情報の提供など、外国人観光客の利便性向上が条例で求められています
まとめ:簡易宿所なら民泊を365日営業できる!
旅館業法に基づく「簡易宿所」として民泊を運営することで、年間を通して営業が可能になり、ビジネスチャンスも大きく広がります。
ただし、建物の基準や必要な設備、地域ごとの条例に細かい違いがあるため、開業前にはしっかりと情報収集と手続きが必要です。
当事務所では、大阪市をはじめとする関西エリアでの簡易宿所許可取得をサポートしています。これから民泊を始めたい方、ぜひお気軽にご相談ください!