民泊を始めてみたい方にとって、どのような物件で民泊を始めるかは様々だと思います。自分が所有しているが使用していないマンションや戸建て住宅で始めたい方や、住宅を借りて始めたい方、不動産を購入して始めてみようと考えていらっしゃる方などなど…
しかし、一番多いのが事業や投資目的として、マンションや一戸建て住宅を賃借して始めたいと考えている方ではないでしょうか。
ここでは、マンションや一戸建て住宅を賃借して民泊経営をする場合の始め方や注意点についてご説明します。
〇 どの種類の民泊をするのかを考える
実は、民泊と一言でいっても大きく次の3つに分かれます。
・旅館業法に基づいて定められた「簡易民泊」
・国家特別区域戦略法で定められた「特区民泊」
・住宅宿泊事業法が定める民泊事業である「新法民泊」(大阪府では「新法民泊」という表現を使っていますので、このホームページでも敢えて「新法民泊」と表記させていただきます。)
「簡易宿所」は始めるための条件や許認可の難易度が高いため、ここでは、「特区民泊」と「新法民泊」の物件の捜し方を中心に解説します。
まず、「特区民泊」と「新法民泊」の大きな違いですが、「特区民泊」は1年のうち365日民泊運営ができますが、「新法民泊」は1年のうち宿泊させることができる日数が180日に限られます。ただし「特区民泊」には1回の利用について、最低2泊3日以上という制限があります。
これだけ考えると、2泊3日という制限があったとしても、1年間の内185日民泊利用できない「新法民泊」よりも、「特区民泊」の方が良いと考えられる方が多いと思います。しかし、「特区民泊」は国家特別区域戦略法によって決められた区域内でしか運営できないというルールがあります。
この“国家特別区域戦略法によって決められた区域”とはどこにあたるのかは、下記のブログでご確認ください。
⇒ブログ:国家戦略特別法に基づく民泊(特区民泊)について
ブログを読んでいただくとわかりますが、関西で民泊を始める場合には大阪市内では「特区民泊」、その他のエリア(大阪市外の多く、京都、兵庫、奈良など)では「新法民泊」になってきます。その他のエリアで365日民泊経営を行うには先ほど触れた「簡易宿所」による方法がありますが、「簡易宿所」は旅館業法に基づく“民泊”であるため、少し難しいことをいうと建築基準法による用途が「ホテル・旅館」である必要があり、一般の戸建て住宅を「簡易宿所」にするためには、施設設備の改修や建築基準法上の用途変更等々が必要であり、初めて民泊をやってみようと考えていらっしゃる方には難易度が高すぎると言えるでしょう。
関西地区で物件を賃借して民泊を始めるので「特区民泊」が一番良いのではないかと思います。
〇 物件のエリアを考える
次に、大きくどのエリア、どの最寄り駅周辺で民泊を始めてみるかということです。
「特区民泊」で始める場合には、概ね大阪市内であれば特区民泊の可能エリアに入ってくると考えられます。「新法民泊」であれば、京都や神戸、奈良、和歌山などでも可能です。
「特区民泊」の場合には、基本的に外国人旅行客に適したように滞在に必要な施設を提供することを目的としています(もちろん日本人の宿泊も可能です)ので、これからのことを考えるとなんばやUSJ、2025年度開催の関西万博に行きやすいエリアを選定しておくと、そこを起点にして京都や神戸、奈良、和歌山を訪問するにも便利なので良いでしょう。
また、駅から徒歩10分以内で物件を探す方が、大きな荷物を持った旅行客のことを考えるとベストだと思います。
これらの民泊物件を捜すには、不動産の賃貸仲介会社に依頼をすることから始めます。
〇 不動産仲介会社を選定する
不動産屋さんといっても、売買仲介を専門にしている会社、賃貸専門にしている会社、売買も賃貸も両方とも行っている会社など様々あります。物件を賃借して民泊を始める場合には、賃貸を専門にしている不動産屋さんもしくは賃貸に強い不動産屋さんを選びます。
賃貸の仲介会社さんにはコマーシャル等で名前をよく聞く大手の不動産会社や、地元に密着して経営をされている不動産屋さんなどがありますが、個人的な見解では、特に民泊物件を捜すには地元密着型で経営をされている仲介会社さんが良いと思います。地元密着型の不動産屋(仲介会社)さんは、永らくそのエリアで不動産業を営んでおり、地域の様々な情報に精通しているからです。
ただし、注意が必要なのは、どの不動産屋さんにおいても、営業マンの中にはあまり民泊に関する関係法令や決まり事について詳しくない方がいるということです。反対に、あまり知らない営業マンの方が多いと思っていた方が良いかもしれません。
物件を捜すうえで特に注意をすべきことがあります。
〇 物件資料の「民泊可」を100%信用しない
不動産屋さんに民泊物件を捜してほしいと依頼した場合には、不動産屋さんがいろいろと物件を捜してくれて、提案物件の資料を提供されます。
資料で提供される物件は、実はそのすべてがその不動産屋さんが管理や仲介の依頼を直接受けているものばかりではありません。これは不動産の仲介業では通常そのようなもの、当たり前のことなのです。
ですので、物件資料に「民泊可」と記入されていても、その物件が本当に100%民泊ができる条件を満たしているのかはわかりません。物件を捜してほしいと依頼した不動産屋さんでさえもわからないことなのです。
「民泊可」と記載されていても、賃貸物件のオーナー(家主)が「民泊として貸し出していいよ。」と言っているだけのケースもあります。
オーナー(家主)が「民泊として貸し出していいよ!」といっても、「特区民泊」ができない区域だったり、また場所によっては「新法民泊」ができない場所もあります。その他、消防法令上かなりの費用がかかる自動火災報知設備を備えなければいけない物件や、近隣住民から民泊営業について猛反対を受ける可能性のある物件もあります。例えば、大阪市内に多い3階建ての戸建てに関しては、耐火建築物でない限り、原則として3階部分を宿泊のために使用することは原則的に禁止されています。
ですので、「民泊可」の文字を信じて、急いで賃貸借契約をしてしまうと、後で関係法令上民泊ができなかったり、民泊に必要な構造基準をクリアするために予想していなかった改装費が必要になったり、近隣住民の説明会で猛反発を受け、断念せざる負えなくなることもあるので要注意です。このような場合、ある程度、民泊物件候補が決まったら、当民泊開業支援センターのような専門家に確認を依頼した方が良いでしょう。
当民泊開業支援センターでは、民泊物件が開業できるかの事前予備調査や、近隣住民の方への説明会前の事前挨拶や告知、賃貸借契約を結ぶ際の注意事項や特約条項の検討などについても支援させていただきます。
また、信頼のおける不動産仲介会社の紹介もさせていただいています。